Gamebook a Go! Go! バックナンバー7号


ANACHRONISM JAPAN


ハーイ、わたし、民芸資料館のカンチョあるよ。お久しぶりアルね。
ナヲミ「ど、どうしたのよ!? そんな格好。昔の中国人じゃないの!? 七三分けに出っ歯のオブジェなんか付けて。その首にかけているのはカメラじゃないの? しかも裸足! なんなの? 気がおかしくなったの!?」
そうじゃないアルよ。今回は、日本を舞台にしたゲームブックを検証してどれだけ実際の日本とかけ離れているか調べてみようという試みアルよ。というわけで、このカッコ、外国人が抱きやすい日本人のステレオタイプをしてみたワケよ。
四太夫「ああびっくりした。正気じゃそんな格好できるわけないもんな。ところで、日本を舞台にしたゲームブックといったが、どれを題材にするのじゃ?」
社会思想社の「サムライの剣」と二見書房の「ムサシの剣」を使用してみるアル。「タイガー暗殺拳」も候補に挙がったアルけれど本を奥に直してしまったのでやめにしたアル。
ナヲミ「こらこら。こんな簡単な理由でやめるんじゃない。館長に代わって佐藤さんにお詫びするわね。」
そいじゃ「ANACHRONISM JAPAN」、始めるかな。

(注:これ以上ヘンなしゃべり方で行うとこのページを見に来てくれた方が怒るかもしれないのでふつうのしゃべり方で行います。 文中に出てくる「アナクロ度」とは、このゲームブックの日本に対する誤解の度合いを星で表現しています)


 ではまず、「ムサシの剣(スティーブ・ペリー&マイケル・リーヴズ著 二見書房)」から。これは、「タイムマシン・アドベンチャー」シリーズの一編で、中央時間管理局の特別捜査官である主人公が17世紀の日本へ飛んでムサシ(宮本武蔵)が実際に使っていた剣を取ってくるという使命を受けることから始まる。で、17世紀の日本・・・とおもいきや、宮本武蔵の映画撮影スタジオにタイムスリップ! スタッフに追い出されるというキョーレツな「つかみ」。まあ、これ自体にはおかしなところがないが・・・。この作品を作るために著者はかなりムサシやその背景をかなり勉強したのだろう、そんなにおかしなところはなかった。でも、いくらかおかしなところがあった。たとえば、座頭市。これは勝新太郎(故人)が主人公を演じる映画であって、史実にはない。また、元武士でもないのに名字を持っているのはおかしい。侍以外の人が名字を持つのは明治時代のことだ。しかも、名前に「頼朝」なんてとんでもない! いくらなんでも「頼朝」は付けないだろう。貴族みたいやもんなあ。あと、関ヶ原の合戦以後の話なのに将軍が京都にいるのはちょっと・・・。江戸なら話が分かるけど・・・。まあ、本文中、気になったのはそこらへんかな? あと蛇足のようだけど、陸蒸気のイラスト、遊園地の機関車のような・・・。

アナクロ度:★☆☆☆☆

 それでは、「サムライの剣(ジャミー・トムソン&マーク・スミス著 社会思想社)」を。これはいささかひどすぎる。結論から先に行ってしまうと、これは「ただのファンタジー作品」と考えた方がいいかもしれない。なにがなんだかわかれへんかったよ、全く。たとえば、出てくるキャラクター。ガルガンチュアとか剣歯虎とかハンムラビとか黄金騎士団とか女魔法使いエリノアとか・・・どこが日本じゃい! と腹が立ちそうな内容。サムライの鎧もおかしい(特に胴や臑当て!)けど、貞信公やその近習のカッコはなんじゃ!? 貞信公の兜はまるで竜宮城の乙姫様のようなハデハデしい形で「これって観賞用やないのか!?」と思ってしまったほど。近習もこれじゃヤクザやで。サムライのカッコちゃうもん! 下も畳やなくて石ムキ出しやもんな、全く。河童の頭が全然違う(皿の回りにある「ひらひら」がない)し、竜も日本のものでも中国のものでもない。背中はドラゴンじゃねえか! ろくろ首も首が伸びる妖怪で決して首が飛び出るような怪物ではない。だいたい亡霊戦士の後ろの旗にかかれている文字、「悪死」の意味を教えてくれ! 「白死(プロレスラー・新崎人生のこと)」なら知っているけど。今市っていう読み方もおかしく感じる(コンチキチンっていってしまいそう)。「いまいち」ぐらいならわかるけど・・・(ちなみに、うちの家からかなり東へ行くと古市というところならあるけど)。茂市も下に帷子なんか着ていればよかったのに・・・。しかも、そんな軽くて切れやすい着物でよう外へヒョコヒョコ出るなあ。「ぬののふく」で冒険しているのと一緒やで。
 んもう、どこもかしこもおかしなとこだらけ。全然勉強しとらんなあ。でも、ヘタにリアル(名誉点があり、これが0になるとハラキリ)なとこもあるしなあ。昔プレーしたことのある「HARAKIRI(外国人が作った戦国シミュレーション、ゲームアーツ)」みたいなもんですな。話によると、この翻訳書はかなり改善されているとのこと。原書はこれをさらにひどくしたモノで、鍔鳴の太刀を「SWORD:singing of the death(歌う死の剣???)」というわけのわからん名前になってイキルも意味不明な名前になっているという。一度読んでみたいものだが・・・。

アナクロ度:★★★★☆

 さて、新たに付け加えた「忍者への道(カーティス・スミス著 富士見書房)」。これがまたなんというか・・・。「サムライの剣」の場合は「ま、ファンタジーの世界やからしゃあない(仕方ない)か」と割り切れるが、これは逃げ道がない。なんせ舞台が鎌倉時代の日本(フビライ・ハン(「忍者への道」ではクビライ・カン)が日本に攻めてきたとか抜かしているんやから)。主人公の名前が「長谷川庫之助」だってさ。浜口庫之助(作詞家)なら知っているけど・・・。しかし、中身も間違いだらけ。サムライの養成道場のエリートが忍者になれるなんてアナクロニズムも過ぎている。忍者は隠れ里で子供の頃から鍛錬しているってーの! しかも、当時の日本にマンゴーはないし、空手も沖縄から伝来するのはかなり後。正座しているイラストもなんか変。顔も彫りが深いし。障子に鍵なんか掛けられるかいな? 敵が襲ってきたらすぐに破られるで、障子やったら。だいたい、鎌倉時代に忍者なんかいたっけ???

 ゲームブックそのものに対してはなかなかの出来だったので惜しいところやねんなあ。たぶん、これはAD&Dの「オリエンタル」セットを元にしてやっていると思うけど、ヘタに中国や韓国のものが入っていなかったのがいいところやね。でも、ショー・コスギの映画を見ていると感じるのが惜しいんだなあ(また言ってる)。

アナクロ度:★★★★★

<まとめ>
 ひとまずここで言える結論は、「もうちょっと考えてよぉ」ということ。特に、「サムライの剣」! もうちょっと勉強しましょうね。あまりにもかけ離れすぎているから。ま、戦国時代と江戸時代と平安時代とがゴッチャになっていないだけマシ・・・と考えられるかどうか。わしは責任もたんもんねー。どーせならもっとハチャメチャやってほしい(日本人作家のほうがこういうのはうまいと思うけど・・・)。「戦国自衛隊」みたいにさ・・・って、さすがにここまでムチャクチャやと、ゲームにならんか(^^;。とはいえ、「アナクロ日本」も、マジメに書かれれば「ヲイヲイ」と思うし、半分冗談やと「おもろいなあ」と思ってしまう。これが日本人の悲しい性(オレだけか?)、ってなものかなあ・・・。

1998.2.28


次号予告?・さあネタがないぞ、どうする?