高調波を抑止するために

この文章は1997年10月16日付「電材流通新聞 第14回電機工事業全国大会特集」に掲載されたものです。電材流通新聞社のご了解を得て、ここに掲載するものです。

 高調波障害なる言葉が使われだしてから数年を経過し、何のことかはともかくとしても、言葉だけは聞いたことがあるという人はかなり多くなってきたように感じられる。

 しかし、その一方で「なぜ高調波が発生するのか」「どういう障害が発生するのか」「どうすればいいのか」「高調波って一体何なんだ」という疑問は未解決のままのように思われる。

 高調波対策機器メーカはそのことを知ってか知らずか高価な対策機器をPRし、また、高調波発生機器メーカは高調波の事項はカタログの片隅に記載している。このような状態ではユーザは何をどうすれば良いのかわからない、という現状も無理からぬところかとも思われる。高調波は社会生活を、また、生産活動をより豊かに、より便利にしようとメーカが困難辛苦を乗り越えて開発してきたハイテク機器(部品、回路、機構など)の大量普及に起因するところ大である。

 ではメーカが悪者かというと、そうとも限らない。メーカにそういうものを要求し開発させ利用しその利便さの恩恵に預かっているのはユーザである。恩恵だけを享受して、高調波発生に無関係とは虫が良すぎる。

 こう書くと、あまりにメーカの弁護をし過ぎるかも知れないが、自分が高調波を発生していることさえ認識していないユーザも多いことからして、こう叫ばざるを得ない。

 しかし、「これらの機器を使用すると、近い将来高調波障害が発生しますよ!」と明確にはつげんしなかったメーカがもっと反省する必要があるのは当然のことで、早く自社の持てる優秀な技術力で高調波が発生しない安価な機器を開発していただきたい。

 かくいう私も、いま、高調波を発生する機器であるところのワープロを使ってり、また、この記事を読まれる読者もまたご同様であろうからして、一体この国は、またこの国の住民は何を考えてどうしようとしているのか・・・・・

 そこで私は消費電力の大きなデスクトップパソコンから消費電力の小さなノートパソコンに愛機を変更し、高調波電流発生量を激減(?)することに寄与した。また、最近ではこれまた高調波障害の大きな要素でもあろうと思われるインターネットを介し、高調波に関してホームページを解説した。日本人の好きなことわざを使用すれば「毒をもって毒を制す」のたとえに乗ったわけである。その効果のほどは、解説から一カ月あまりではまだ不明だが、良識ある行動を期待したい。どなたかの選挙演説ではないが「小さな事からコツコツと」の心境である。

 日頃から日本人は物事を大上段に考え過ぎるのではないかと感じている。

 ユーザが高調波障害について、また高調波障害の正体について深ーく深ーく考える必要があるのだろうか?

 「ただ、高調波発生量のより少ない機器を導入し、メーカは高調波発生量がより少ない機器をより安く開発し提供すれば良い」のではないだろうか。このように考えれば何も難しいことはない。これがここ数年高調波と寝食を共にしてきた人間の結論である。要は実践のみである。

 高調波障害は進相コンデンサ設備(直列リアクトルを含む)に大半が集中して発生している。「高調波が原因で、いまにも高圧直列リアクトルが焼けそうだ。しかも、その高調波は外部から侵入してきている」という相談を何件も受けた。このような時に、どうすれば良いのか。

 (1)直列リアクトルを6%から13%に変更する。進相コンデンサを標準型から13%リアクトル用に変更する。

 (2)高圧進相コンデンサ設備を廃止し、低圧進相コンデンサ設備にする。

 これがオススメの対策方法であるが、いずれも無料とはいかない。よそが発生させている高調波が原因であるのに、なぜ対策費用は自分持ちなのか。怒りはごもっともであ。

 そこでとっておきの方法を伝授申し上げる。それは「その高調波の主たる発生者を確定し、その発生者に高調波流出抑制対策を実施させる」ことにつきる(発生箇所を特定するのに測定器類が必要になるが)。

 私は愛煙家であるが、最近タバコを吸える場所が激減している。これは有害なタバコの煙を垂れ流し、そばにいる人達の健康を損ねる危険性をあたえるからであって、残念ではあるが致し方ないと思っている。高調波も全く同様である。有害な高調波を垂れ流し他人様の設備の健康を損ねる危険性があるのであるからして、タバコと同様に発生しても他人様に影響を与えぬようにさせるべきである。そうでなければ、愛煙家は泣くに泣けない(?)。タバコはダメだが、高調波OKでは理不尽である。神も仏もあったものではない(タバコにこだわりすぎる?)。

 さあ話もここまで盛り上がってきたからには、ソロソロ本題に入る。もし、自分の設備から発生した高調波電流が何ゆえか他人様の設備の健康を害し奉っていると苦情を仰せつかった時にどうするかである。

 まず、どの設備から高調波が発生しているかを把握しなければならない。しかしね設備には「この設備は何%の高調波を発生します」とは表示されていない。また、発生するとも表示されていない(ここが一番の問題だとおもうのだが)。そこで簡単に見分ける方法としては半導体を使用している機器か、半導体を使用していない機器かを調査することである。半導体を使用していなければ高調波の発生は微々たるもので、まず他の機器に影響を与えることはない。次に半導体が主回路に使用されているかを調べる。ある程度の容量(数kVA)以上の機器であれば、半導体を冷却するために放熱フィンや冷却ファンを使用しているのでわかる。もし半導体が主回路に使用されていれば、それは不幸である。その機器のメーカに高調波発生機器の回路形態や発生量を問い合わせまた算出する。高調波を発生していると思われる全機器に対しして同様に行う。そしてその高調波発生量を総計しガイドラインをオーバーしていなければ対策を行う必要はない(行っても良い)。なぜならばくながOKを出しているからである(この場合、苦情を言われた側にたって文章を書いている)。

 次に問題となるのがどうやって高調波電流を計算するかである。高調波対策機器メーカに電話して諸定数をfaxして相談すれば無料で計算してくれる(先の電設工業展で確認したら、対策機器を買わなくてもけりょうで計算します、とのことであった)ハズだ。タダほど高いものはない、とは昔からのことわざで、無料が気持ち悪ければ、有料のパソコンソフトがある。使ったことがないので強く推薦するわけにもいかないが、販売されている。また、当社からもKHarmという名称で販売(定価は5万円)している。5万円が「高い」と言われる方には、私が個人で解説しているホームページで無料版のKHarmを入手することができるので、お勧めする。ただし、このソフトは機嫌付(本年末日まで)になっていて、期限を過ぎると使用することができなくなっている(私個人としては無期限にしたいが、期限つきにしなければ会社が販売している正規版KHarmが売れない)。もしインターネットができない、または分からないという方であれば事務所の女の子に頼んでみれば案外簡単かも。また、どうホームページには質問箱を開き高調波に関する質問を受け付けている。費用は無料。

[ホームページ]

http://www.twin.ne.jp/~yamachan/

 

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