8ビットパソコンの世界

 当時のパソコンには現在ほど各種のソフトがあるわけがない。あってもほとんどがゲーム。なにぶんにもインベータやブロック崩しなどのゲーム機ブームの直後だからしかたがない。

 こんな状況だから欲しいソフトは組むしかない。それでもメジャーなPC−8001ユーザはまだいいほうで、わが愛機になると一般のショップではまず売ってない。そこでプログラムを作成するツール(プログラミング言語)が必要になる。その当時にコンピュータでよく使用されていたのは事務系ではCobol、技術系ではFortranであった。しかしどちらもコンパイラ形式(通訳形式と訳される事が多い)でメモりも当時のパソコンでは収まらない容量を必要とした。そこでメモり容量が少なくてすむインタープリタの使用となる。

 パソピアは少し変わったパソコンで、ホームユースとビジネスユースの両方を意識しており、ホームユースにはT−BASIC、ビジネスユースにはOA−BASICを使うようになっていた。T−BASICはマイクロソフトのBASIC(再度断るがVisual Basicではない。勝手にVisualをつけてはいけない)でインタープリタ形式になっていた。インタープリタとは通訳形式とでも表現できようがBasicの命令を一語づつ読み取り、その命令語に相当するブルーチンを実行するというヤツだ。

 T−BASICを使って幾つかのプログラムを書いた。しかし何の役にもたたない自己満足のレベルだ。どうしてもカラフルなグラフィックを使ってみたいという欲求が出てくる。音も欲しい。動きも早くしたい。そういう要求というよりは欲求に似た欲望だ。

 考えてみると、今のインターネットと似ているかも知れない。大きなグラフィックでフルカラーで、サウンドをつけて、アニメを楽しめたら・・・・

 このころに人気のあった機種はN社のPC8001(9801ではない)と少し遅れて登場したPC8801。そこへF社の威信をかけたFM−7なるパソコンが現れた。FM−7は先のFM−8の後継機種というよりもよりエンターテイーメント面を重視したパソコンで、グラフィックや音に楽しみを持たせてくれた。

 このころに登場した機種はFM−7を多分に意識したカラーとサウンドが格段に進歩した。しかし本当の意味でエポックメーキングなことは、フロッピーディスクの登場だろう。当時の我々はオーディオカセットの代用としての捕らえ方をしていた。

 すなわち、容量が大きく、早く、確実で、オーディオカセットテープにセーブするときの不安な精神状態から脱皮できる喜びに満ちあふれていた。単純なものだ。しかし、フロッピーディスクの登場はそんな程度の変化を与えただけではなかった。

 フロッピーディスクの登場により、CP/MなるDOSが登場した。当時の我々のレベルではDOSって何どす(何で急に舞子さんやネン)、てなものだった。だから家庭用ではCP/Mなんて必要なかった。パソコン購入時にインストール(もちろんそんな高尚な用語はなかった。)されているBASICを使い続けた。

 しかし、そんな私にもBASICインタープリタのスピードがもどかしく感じられ、とうとうマイコンボード同様のハンドアセンブルにのめり込んで行った。「高級言語なぞ、糞食らえ」である。失礼、私としたことが少々お下品でした。このころに「パソコンを持ってます」とか「パソコンをかった」などと同世代以上の人にいうと「そんな物で何ができる」とか、「何に使うんだ」といった言葉が帰ってきて、返事に困ったものだった。家計簿と返事しても笑われる。ゲームと答えればいい年してゲームかと軽蔑される。それなのになぜか家に帰ればキーボードを触らずにはいられないボク。

 そこへ夢見たいな話。BASICプログラムをマシン語に変換してくれるBASICコンパイラやアセンブラが使用できるというのである。この話を聞いたとき、「欲しーい」と思ったことはいうまでもない。しかし、BASICコンパイラやアセンブラを買ってきただけでは使えないという。そのためにはCP/MというDOSが必要だという。ここで初めて私にもDOSの存在価値が分かってきた。CP/M欲しーい。

 しかし、金が無い。貧乏人は悲しいものだ。金さえあれば。金さえあれば何でも手に入る。しかし、欲しい。

 金がなければ知恵を使う。知恵はタダ。ただほど安い物はない。そこで考えた。自分で買えなければ、人に買わせれば良い。誰に買わす。誰でも良い。誰でも良いとはいっても、隣のオッサンに頼むという訳にもいかない。そうだ。会社に買わそう。だけど会社にはパソコンがない。パソコンのない会社に「CP/Mを買ってくれ」という訳にもいかない。自棄糞だ(失礼。またまたお下品になってしまった)。会社にパソコンを買わそう。買うためのタイトル何ぞ何でも良い。結果としてパソコンが買えれば良い。そうすれば、CP/Mが使える。CP/Mが使えればBASICコンパイラが使える。アセンブラが使える。

 こんないい話はない。よし、実行だ。